
ねえゆう、うんと遠くはなれてても、つながってる2つのものって、あるの?

あるんだよ。それも、宇宙のはしとはしくらい遠くてもね
量子もつれは、2つで1組のふしぎな約束


2つの光の粒は、片方だけでは性質が決まらない組の状態になれるんだ。これが量子もつれだよ

片方だけでは決まらないのに、2つで考えると決まるの?

味ちがいのおやつカードが2まい、1セットになってると思ってごらん

ふつうの2つとは、何かちがうんだね

片方を開けて味を見ると、もう片方の味も、ぴたっと決まるんだ。でも、これは本物とは少しちがうたとえだよ

あっ、2つで1セットだから、もう片方の味もわかるんだね!

にゃんと!! じゃあ遠くのゆうに、おやつの味をすぐ送れちゃうんだ!

そう思うよねえ。みいがカードを開けたら、ぼくの味までわかりそうだもんね

みいが開けたら、おやつをすぐゆうにおすそわけできるんだ!

ふふ、でも、それができるわけではないんだ。次の話で説明するね

えっ、送れないんだ! じゃあ、次の話を聞く!
はなれていても、合図を送っているわけじゃない


え、味は決まるのに、合図は送れないの?

自分が見る答えは、まったくのでたらめなんだ。だから、それだけじゃメッセージにならないんだよ

でも、つながってるのに合図を送れないなんて、へんだよ!

あとで2匹が集まって、答えを見せ合って、はじめて「ふしぎな強いつながり」がわかるんだ

えっ、ひとりで見る答えは、でたらめにしか見えないの?

そうだよ。ふたを開けるまで味がわからないおやつ箱を、2つ同時に開けるようなものだね

答えを見せ合って、はじめて強いつながりがわかるんだね

おやつ通信なら、みいに毎日おすそわけできるのになあ……ふわ……

ゆう、またおやつに話をそらしてるよ

ご、ごめん。通信できない話に戻るよ

うん、話を戻そう!
「最初から答えを決めていた」だけでは説明できない


科学者たちは、こう考えたんだ。「実はカードが、生まれたときからこっそり答えを持ってただけじゃないか」って

ずるい答え表を、こっそり持ってた、ってこと?

そう。でも、見る向きを変えて何度もためすと、答え表だけでは説明できない強いつながりが出てきたんだ

向きを変えるたびに、答えがどうなるか分からないの、ちょっとこわいよ……

……うん。ぼくがとなりにいるから、ゆっくり見ていこうね

あっ、何度もためすと、答え表だけでは説明できないってわかるんだ!

だから、事前に決めた答え表だけでは、この強いつながりを説明できないんだ

にゃんと!! 事前に答え表を書いても、全問正解できないの?

じゃあ答え表を、ゆうのおやつの下にこっそりかくしちゃおう!

おやつの下!? でも、たくさんの実験で、答え表だけでは説明できないとわかったんだ。ふしぎなつながりだよ

うん、わかった! 答え表だけじゃ説明できないんだね
量子もつれは、どこで役立つの?


このつながりは、こわれやすい暗号を作る研究や、遠くに情報を運ぶ研究に使われているんだ

にゃんと!! じゃあ、みいを宇宙船ごとワープさせて!

おやつも宇宙船も、みいといっしょにワープできるんだね!

みい本体は運べないんだ。量子テレポーテーションは、人・物・おやつを運ぶことではないよ

えっ、人もおやつも運べないの?

運べるのは、光の粒が持つ小さな状態だけだよ

状態だけ? みいの体は置いていくんだ!

しかも、ふつうの通信もいっしょに必要なんだよ

そっか。光の粒の状態だけが運ばれて、みいはここにいていいんだね。ちょっとほっとしたよ
ねこ換算


1組だけでは、つながりの強さはわからないんだ。肉球スタンプを100組ぶん集めて、左右の台紙を重ねてみよう

にゃんと!! 1組じゃたりないんだ!

たくさん集めて比べると、ただの偶然かどうかが見えてくるんだね!

たくさん集めて答え合わせすると、ただの偶然よりずっと強いつながりが見えてくるんだよ
3ぎょうまとめ
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量子もつれは、2つの粒が「組」になった、切りはなせないふしぎな状態
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自分だけの答えはでたらめで、光より速いメッセージは送れない
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事前に決めた答え表だけでは説明できないほど、強いつながりが実験で確かめられている
きょうのナゾ

ねえ、このふしぎなつながりって、けっきょく何なの? まだ誰にも答えが決まっていないなぞなの?

うん。まだ答えは一つに決まっていないんだ。

このつながりが宇宙について何を意味するのか、博士たちも考えているの?

そうなんだ。いろんな考え方があるけれど、どれが正しいかはまだ決まっていないんだよ。……ワクワクするね

じゃあ、答えをさがすのも楽しそう! みいも考えてみる!
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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「片方を測るともう片方が決まる」は、測定する性質(基底)と共同の量子状態に依存します。常に同じ値が出る、あるいは一方の測定が遠方へ物理的な変化を伝える、という意味ではありません。
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おやつカードや、ふたを開けるまで味がわからない箱のたとえは、あくまで「古典的な相関」を理解する入口です。量子もつれの相関は、測定の向きを変えたベルテストによって、事前に決まった値を持つ「古典的な隠れた変数モデル」とは区別されることが実験的に確かめられています。
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各地点での測定結果はランダムであり、結果を比較するには通常の(光速以下の)古典的な通信が必要です。そのため、量子もつれを使って光速を超えて情報を送ることはできません(ノーシグナリング定理)。
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「量子テレポーテーション」は粒子・人・物そのものを移動させる技術ではありません。未知の量子状態を、共有した量子もつれと古典通信を組み合わせて、遠く離れた場所で再現する手順(プロトコル)です。
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ねこ換算の「100組」は統計的な比較のイメージを伝えるための比喩であり、実際の実験に必要な試行数や統計的有意性を示す数値ではありません。
参考にした資料
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The Nobel Prize — The Nobel Prize in Physics 2022: https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2022/press-release/
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J. S. Bell (1964) — On the Einstein Podolsky Rosen paradox: https://doi.org/10.1103/PhysicsPhysiqueFizika.1.195
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A. Aspect, J. Dalibard, G. Roger (1982) — Experimental Test of Bell’s Inequalities Using Time-Varying Analyzers: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.49.1804
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C. H. Bennett et al. (1993) — Teleporting an unknown quantum state via dual classical and Einstein-Podolsky-Rosen channels: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.70.1895
(最終更新日: 2026-08-11)