
ねえゆう、小さなつぶって、見ただけで行き先が変わるの?

実験のふしぎだね。人の目そのものじゃなく、調べ方が大事なんだ
2つのすき間を通ると、しましまが出てくる


にゃんと!! すき間は2本なのに、後ろの板がしましま!

これが二重スリット実験だよ。光や電子を、2つの細いすき間へ送るんだ

どうしてしまになるの?

水面で2つの波が重なると、高い所と低い所ができるよね

なるほど、波が重なるとしまになるのね

そう。強め合う場所にはたくさん届くし、弱め合う場所は届きにくいんだ。だからしまに見えるんだよ

見えない波が、板におえかきしてるみたい!

じゃあ板のしまを、みいがなぞれるかな?

いいね、そのままなぞってみて!

にじみたいにカラフルだー! しましまレインボー!

たとえは入口だけだよ。量子のつぶは水の波そのものじゃないんだ
1個ずつ届くのに、あとから波みたいなもよう


でも、光や電子は1個ずつ送れるんでしょ?

そう。まずは板に小さな点が1個ずつ付くんだ

1個ずつなら、しまじゃなくて点々だけになりそう

そこがふしぎでね。点をたくさん重ねると、つきやすい場所が見えてくるんだ

えっ、かってにしまになるの?

肉球スタンプを何度も押すと、集まる場所がわかるでしょ? それに似てるんだ

じゃあ100匹のねこでスタンプ大会だー!

優勝はおやつ100こ…あ、よだれが…

ゆう、またおやつの話だよ

ゆう! スタンプはたとえだよ! 板にもどって!

はっ、ごめん。1個の行き先は予想しにくくても、集まりにはもようが出るんだ
「どっちを通った?」を調べると、しまは消える


右と左、どっちを通ったか調べたら、しまが消えちゃうの?

検出器を置いて、通った道の手がかりを残せるようにすると、しまが見えなくなるんだ

にゃんと!! 見ただけなのに!

小さなつぶが検出器にふれると、道の情報がうつるんだ

へえ、ふれただけで情報がうつるんだね

そう。そのとき、しまを作る手がかりを保ちにくくなるんだよ

検出器が、つぶに話しかけたみたい!

つぶも「はーい、右です」って答えるのかな?

近いけど、ちょっとちがうんだ。こわすために見張るんじゃなく、ふれて記録が残ることが大事なんだ

道がわかる実験では、板に2本の帯みたいな集まりが出るよ
これは「人の心」が変える話じゃない


人が見なければ、しまはそのまま出るの?

人が結果を読まなくても、検出器が記録したら、しまは見えにくくなるよ

えっ、機械が勝手に見てるんだ!

みいが目をかくしても、検出器が見てたらだめなんだ!

うん。かくしても、検出器が見ていれば同じなんだ

そっか… 人の気もち、関係ないんだね。ちょっとさびしいな

……うん。みい、そばにいるよ

そばにいてくれるなら、少し安心。でも「観測」って、人が見ることじゃないの?

「観測」は人の目だけじゃないんだ。測定器や光、空気とふれることも、量子には大きなできごとなんだ

機械まで! 「人の心が変える」って、ちがう言い方なんだね

そう。まほうじゃなくて、物どうしがふれ合う実験なんだよ
量子の世界は、どこまで不思議なの?


しまが消える理由は、もうぜんぶわかったの?

実験で何が起きるかは、何度も確かめられているよ

答えがわかっていても、考え方はまだ話し合い中なんだね

うん。答えは同じでも、考え方がいくつもあるんだ

みいはどの考えがすきか、まだ決めてないよ

そうなんだ。量子の状態を、測る前からどう受け取るか、博士たちも話し合っているよ

ふしぎを調べると、新しい道具も作れるの?

うん。この実験は、量子のコンピューターや細かい測定を考える土台にもなっているんだ
ねこ換算

肉球スタンプ1回では、集まり方は分かりにくいよね

点が1こ、ぺたんと付くだけだもん

100匹ぶんのスタンプを重ねると、よく付く場所が見えやすくなる。量子の点も、たくさん集めて模様を調べるんだ

にゃんと!! 1匹では見えないルールが、100匹で見えてくるんだね!
3ぎょうまとめ
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二重スリット実験では、小さなつぶを送ると、板にしま模様が積み上がる
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どちらのすき間を通ったかの記録を残すと、しま模様は見えなくなる
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大事なのは人の目ではなく、測定器や周りの物とのふれ合い
きょうのナゾ

測定する前の小さなつぶは、ほんとうはどんなふうにあるの?

それって、まだ誰にもわからないなぞなの?

うん。実験の答えは同じでも、その意味の考え方には、今もいくつもの意見があるんだよ
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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二重スリットで現れる干渉縞は、量子状態の確率振幅が重なることで生じます。本文の水面の波と肉球スタンプは、干渉と確率分布を導入するための比喩であり、量子が古典的な水の波であることを意味しません。
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「1個ずつ届く」は検出面で局在した事象として検出されることを指します。多数回の測定で得られる分布が干渉縞になります。必要な試行回数は装置条件によるため、「100匹」は統計を伝えるためのたとえです。
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経路情報が得られると干渉の可視性が失われる現象には、検出器や環境との相互作用、エンタングルメント、デコヒーレンスが関わります。単なる古典的な「乱れ」だけで説明するものではありません。
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本文の「観測」は意識ではなく物理的な測定・記録を指します。量子状態の解釈には複数の立場があり、実験結果と各解釈を区別して扱う必要があります。
参考にした資料
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Nobel Prize — The Nobel Prize in Physics 1937(Davisson・Thomson「電子の回折」の発見): https://www.nobelprize.org/prizes/physics/1937/summary/
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NIST — Quantum Physics(JILA/NIST量子物理部門): https://www.nist.gov/pml/quantum-physics
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Richard P. Feynman, The Feynman Lectures on Physics, Vol. III, Ch. 1: https://www.feynmanlectures.caltech.edu/III_01.html
(最終更新日: 2026-09-04)