
ゆう! 押し入れの奥に、別世界への入り口があった!

ほんと? 中はどうなってたの?

…おやつ箱だった。でもね、もうひとつの世界って、ほんとにあるの?

そこが気になるよね。今の答えは、「まだ確かめられていない」なんだ
パラレルワールドは、見つかった場所なの?


映画みたいに、そっくりなみいがいる世界かな?

そういう物語は楽しいね。でも、別世界を見つけた証拠は、まだないんだ

押し入れの奥なら、入り口を見つけられるかも!

中では、もうひとりのみいがおやつを独り占めしてるかも!

えっ、みいのおやつが!? …それは、おやつ箱の置き場所だねえ

ゆう、おやつの話になるとすぐ反応するね!

じゃあ、パラレルワールドって、うそなの?

うそ、と決めたわけでもないよ。科学では、ちがう考えをまとめてそう呼ぶことがあるんだ

ちがう考えを、ひとつの名前で呼ぶんだね

うん。物語の別世界と、物理の考えは、分けて調べるのが大切なんだよ
小さな世界では、いくつもの可能性が重なる


小さなつぶは、どっちのすき間を通るの?

量子という小さな世界では、いくつもの可能性をふくむ形で表すんだ

いくつも、いっしょに?

池に2つの石を落とすと、波紋が重なって模様になるよね。それに少し似ているんだ

光や電子でも、2つのすき間の実験で、しま模様がくり返し見つかるよ

じゃあ、おやつも重ねたら2倍にできるんだ!

おやつも2倍にしてよ! ゆうのぶんも、みいのぶんも!

おやつ2倍!? ぼくもほしいけど、食べられるおやつが2倍になる実験ではないよ。ぼくも残念だねえ

おやつ2倍じゃないんだ! じゃあ、分かることが知りたい!

この結果には、いくつかの考え方がある。多世界解釈はその1つなんだ

でも、しま模様だけで別世界があると決まったわけではないよ
宇宙がたくさん生まれるという考えもある


宇宙そのものが、たくさんあるかもしれないの?

初めの宇宙が急に大きくなった、という考えから、そう考える博士もいるよ

条件によっては、泡みたいな宇宙が次々できる模型が出てくるんだ

泡がいっぱいなら、宇宙ソーダだー!

シュワシュワって飲めたら、おいしそうなのに!

飲めないんだ。泡宇宙が本当にあるかは調査中だよ

もし別の泡に、もうひとりのみいがいたら…会えないのは、ちょっとさびしいな

……うん。

その泡は、遠くまで飛べば見つかるの?

ただ遠い場所、という意味ではないんだ。別の泡のしるしを探す研究はあるよ

でも今のところ、ほかの泡があると決める証拠は見つかっていないんだ
「あるかも」を科学でどう確かめるの?


どんな結果が見つかったら、「ある」って言えるの?

いい質問だね。科学では、先に「こう見えるはず」を考えて、観測と比べるんだ

博士の道具箱には、望遠鏡と記録帳と、「本当にそうかな?」が入っているんだよ

見たいものを見つけるだけじゃ、だめなんだね

うん。ほかの説明より合うか、まちがいだと分かる方法があるかも大事なんだ

会えたら、もうひとりのみいと一日中あそぶのに!

二匹で走り回ったら、部屋中が大騒ぎだー!

楽しそうだねえ。でも、まずは会えると予測できる方法が必要だねえ

じゃあ、今は会いに行けないの?

今は行く入り口も、会う方法も知られていないよ
ねこ換算

コインを10回投げると、表と裏の並び方は1024通りあるよ

にゃんと!! 可能性カードを1枚ずつ持つなら、1024匹のねこがいる!

1024匹のねこが並んだら、壮観だね!

そう。可能性の数は、すぐに大きくなるんだ

じゃあ、世界が1024個あるってこと?

でもこれは計算のたとえ。世界が1024個あると数えたわけではないよ
3ぎょうまとめ
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パラレルワールドは科学で考えられているが、実在はまだ確認されていない
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量子の実験や初めの宇宙の考えから、いくつかの別世界の模型が生まれている
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「あるかも」を科学にするには、観測で確かめられる予測が必要
きょうのナゾ

ほかの世界があるなら、見分けられるしるしはあるの?

考えごとだけでなく、ほかの説明とはちがう観測の印が必要なんだ

そっか。まだ見つかっていなくても、調べ方はあるんだね

それって、まだ誰もわからないやつなの?

うん。答えは、まだ誰にも決まっていないんだ
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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「パラレルワールド」は厳密に1つへ定まった学術用語ではありません。本文では、量子力学の多世界解釈と、宇宙論における泡宇宙などを混同せず、別々の発想として紹介しています。
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量子の重ね合わせと干渉は観測事実ですが、それだけで多世界解釈が唯一の説明になるわけではありません。測定の理解には、コペンハーゲン系、客観的収縮理論、ボーム理論など異なる枠組みがあります。
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「重なる」は量子状態を導入するための表現で、日常の選択ごとに宇宙が正確に2つへ分かれる意味ではありません。観測は人の意識ではなく、測定器や環境との物理的な相互作用を含みます。
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インフレーションは初期宇宙を説明する有力な枠組みですが、全てのモデルが永遠のインフレーションや泡宇宙を必然的に生むわけではありません。泡の絵は模式図で、宇宙の外に通常の空間や移動できる通路がある意味ではありません。
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他の泡との衝突痕跡を宇宙背景放射に探す研究はモデル依存です。候補がないことは全てのマルチバースを否定せず、候補だけで別宇宙の証明にもなりません。ねこ換算の1024通りは、コイン10回の組合せ計算であり、実在する世界の数ではありません。
参考にした資料
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Hugh Everett III — Relative State Formulation of Quantum Mechanics: https://doi.org/10.1103/RevModPhys.29.454
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Wojciech H. Zurek — Decoherence, einselection, and the quantum origins of the classical: https://doi.org/10.1103/RevModPhys.75.715
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Alan H. Guth — Inflationary universe: A possible solution to the horizon and flatness problems: https://doi.org/10.1103/PhysRevD.23.347
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Stephen M. Feeney et al. — First Observational Tests of Eternal Inflation: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.107.071301
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Planck Collaboration — Planck 2018 results. X. Constraints on inflation: https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833887
(最終更新日: 2026-07-28)