
ねえゆう、この世界って、だれかが作ったゲームの中なの?

そんな見方もあるんだよ。それを「シミュレーション仮説」っていうんだ
シミュレーション仮説って、どんな考え?


もし、ものすごく本物そっくりなゲームの中に住んでいたら、外がゲームだと気づけるかな?

うーん……中にいたら、気づけないかも

その「もしも」を、宇宙全体にまで広げた考えが、シミュレーション仮説だよ

にゃんと!! じゃあ、みいのごはんもボタンを押したら無限に出るの!?

ゲームの中なら、みいのごはんも無限に出せそうだねえ

じゃあ、みいはボタンを押す係! ずっと出すの!

そういうお話だねえ。でも、現実のおやつは、ちゃんと用意しようねえ

じゃあ、ほんとうかどうか、まだたしかめられていないの?

うん。これは「考え方のひとつ」で、本当だと決まったわけじゃないんだ

おもしろい思考実験だけど、事実だと決まってはいないんだね
宇宙のルールは、ゲームのルールと同じ?


にゃんで、宇宙の話がゲームみたいに見えるの?

宇宙には、重力や光の速さみたいに、いつもおなじ規則があるんだ

ゲームにも、キャラクターのルールがあるんだね

そう。ゲームにも、キャラクターの動きを決める規則があるから、似て見えることがあるんだよ

じゃあ、宇宙もだれかが作ったんじゃない?

そうだと、わくわくするねえ

クッキーのレシピを思い出してごらん。レシピがあっても、焼き上がった形が、だれかの手書きの絵とは限らないよね

レシピと、できあがったものは、同じとは限らないんだね

自然の規則――物理法則は、宇宙をよく観察して見つけ、何度もたしかめたものなんだ

重力のルールなら、ぼくはおやつを落とさないように……

ゆう! 食べるルールの話じゃないよ!
「バグ」を見つけたら、わかるの?


おもちゃがソファの下へ消えた! バグだー!

まず、のぞいてみよう。そこにあるかもしれないよ

にゃんと!! ほんとにあった!

不思議な出来事があっても、まずは測りまちがい、新しい自然のしくみ、説明のたりなさをうたがうんだ

にゃんで、すぐ「シミュレーションだ!」って言っちゃダメなの?

だれでも同じ方法でたしかめられて、ほかの説明より強い証拠がいるからだよ

つまり、今はまだ決められないんだね

今のところ、宇宙が計算機の中だと決められるような証拠は見つかっていないんだ
答えがまだなくても、考えていいの?


ほんとうかわからないことを考えるのも、科学なの?

そこに気がついたんだね。考えたあとで、どうやってたしかめるかを考えるのが大事なんだ

学者さんたちは、どうやってたしかめるの?

「どんな観測なら、この仮説が正しいか、まちがいかがわかるか」を考えているよ

でも、まだ答えは決まっていないんだね

うん。宇宙がシミュレーションかどうかは、まだわかっていない。そもそも科学で答えられる問いかどうかも、議論中なんだ

答えがまだないままだと、ちょっと心配だよ……

……うん。ぼくはここにいるよ

仮説がどうであれ、今見えている星空も、おやつの時間も大切な現実だね。みい、今のみいが好きー!
ねこ換算


ゲームなら、みいの1秒のジャンプを、60まいの絵をぱらぱら見せて、なめらかに見せることがあるんだ

にゃんと!! みいのジャンプが、60まいの絵!?

そうそう、でも、それはゲームの作り方のお話なんだよ

でも、みいはコマ送りじゃないもんね!?

ゲームの中では、そうやって見せるんだね

そのとおり。みいの動きが60このコマに分かれる証拠じゃないよ。ねこも宇宙も、なめらかに動いて見えるってことだね
3ぎょうまとめ
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シミュレーション仮説は「宇宙が計算機の中かもしれない」という考え方のひとつ。事実だと決まったわけではない
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宇宙に規則があることや、不思議な現象があることは、そのままシミュレーションの証拠にはならない
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科学では、だれでもたしかめられる予測を立てて、くり返し確認することを大切にする
きょうのナゾ

ねえ、宇宙の中にいるみいでも、答えを見つけられるの?

人間の博士たちも、まだ答えが決まっていないなぞなの?

うん。まだ答えが決まっていないから、ワクワクするね。宇宙がシミュレーションでも、外と見分ける方法は大きなナゾなんだよ
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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「シミュレーション仮説」は単一の確立した科学理論ではなく、複数の哲学的主張・思考実験・物理学的検討をゆるやかにまとめた呼び方です。本文でも「考え方のひとつ」と繰り返し明示し、断定を避けています。
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Nick Bostromの議論は、「高度な文明が祖先シミュレーションを多数作るなら、私たちが基底現実にいる確率は低いかもしれない」という三択の論証であり、宇宙がシミュレーションであることを実証したものではありません。
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「宇宙に数学的な法則がある」「量子論に確率性がある」「光速が一定である」などは、シミュレーションの証拠にはなりません。それぞれ既存の物理学に基づく説明と検証の文脈があります。
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ゲームの「フレーム」「コマ」「バグ」は、あくまで説明のためのたとえです。時空が離散的か連続的かは現代物理学でも研究対象であり、単純にゲームの描画方式に対応づけられるものではありません。ねこ換算の60fpsの例も、ゲーム・映像の表示方式の例であり、宇宙の更新回数やプランク時間を示す値ではありません。
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一部には、格子状の数値シミュレーションであれば高エネルギー宇宙線に痕跡が出る可能性を検討した論文(Beane, Davoudi, Savage, 2014)があります。ただし特定の実装方法を仮定した条件つきの理論的議論であり、痕跡の発見や、宇宙がシミュレーションだという結論が得られたわけではありません。
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科学的な仮説には、観測可能な予測・再現性・反証可能性が重要です。検証がむずかしい主張が無意味というわけではなく、哲学として検討する価値があり得るという区別を、本文でもやわらかく示しています。
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お子さんが「だれかに見られているの?」「世界が消されるの?」と不安を示した場合は、そのような証拠はなく、身近な人や日々の現実を大切にしてよいと伝えてあげてください。
参考にした資料
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Nick Bostrom — Are You Living in a Computer Simulation?: https://doi.org/10.1111/1467-9213.00309
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Nick Bostrom — Simulation Argument FAQ: https://simulation-argument.com/faq/
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Silas R. Beane, Zohreh Davoudi, Martin J. Savage — Constraints on the Universe as a Numerical Simulation: https://doi.org/10.1140/epja/i2014-14148-0(arXiv版: https://arxiv.org/abs/1210.1847)
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CERN — The Standard Model: https://home.cern/science/physics/standard-model
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NIST — The International System of Units (SI): https://www.nist.gov/pml/owm/metric-si/si-units
(最終更新日: 2026-08-11)