4コマ「ブラックホールに落ちたら、どうなるの?」。1コマ目みい「ブラックホールに近づいたら、体がのびるの?」、2コマ目ゆう「近い側と遠い側で引っぱる強さが違って、引きのばされることがあるんだ」、3コマ目みい「高い棚のおもちゃ、とれる!」、4コマ目ゆう「帰って遊べないよ」、みい「……踏み台にする!」
みいみい

ねえゆう、ブラックホールにちたら、どうなるの?

ゆうゆう

想像そうぞうの中だけで、そっと見に行ってみようか。近づくのは、とってもあぶないからね

まず、遠くにいれば落ちない

ブラックホールに落ちたら、どうなるの?(まず、遠くにいれば落ちない)
みいみい

見つけたら、すぐにすいこまれちゃうの?

ゆうゆう

おっ、そこに目がいったんだね。遠くなら、勝手かってに落ちたりしないんだ

みいみい

え、ブラックホールも引っぱるんじゃないの?

ゆうゆう

うん。ほかの星と同じで、重力じゅうりょくで引っぱるだけなんだ

みいみい

じゃあ遠くを宇宙船うちゅうせんでくるくる回ってあそべる?

みいみい

ブラックホール観光地かんこうちだ! おやつ持っていこうよ!

ゆうゆう

観光地ってめちゃったの?

みいみい

えー、行っちゃだめなの?

ゆうゆう

そう。すべり台も、となりの道なら落ちないよね。近づきすぎるとすべるけど

みいみい

そっか。落ちる道に入ったときのお話なんだね

「もうもどれないふち」をえる

ブラックホールに落ちたら、どうなるの?(「もう戻れないふち」を越える)
ゆうゆう

近づくと、「事象じしょう地平線ちへいせん」という境目さかいめがあるんだ

みいみい

地平線って、宇宙にもあるの? 海みたいなら飛びこみたい!

ゆうゆう

海みたいなら、飛びこんで遊んでみたくなるよねえ

みいみい

じゃあ、海のこうまで行って、また戻ってこられるの?

ゆうゆう

飛びこんじゃだめだよ。ここを越えると外へもどる道がなくなる、という意味いみの「ふち」だよ

みいみい

にゃんと!! 光も、外へ帰れないの?

ゆうゆう

そうなんだ。光はかけっこ最強さいきょうでも、外へ「だいじょうぶ」と知らせられないんだ

みいみい

え、じゃあどうやって帰るの?

ゆうゆう

帰れないんだ。川のながれがはやくて、どんなにおよいでも上流へ行けない場所ばしょみたいだね

みいみい

外から見たら、落ちたものはどう見えるの?

ゆうゆう

遠くの人には、光が赤くくらく、ゆっくりになって見えるんだ

足と頭で、引っぱられ方がちがう

ブラックホールに落ちたら、どうなるの?(足と頭で、引っぱられ方がちがう)
みいみい

戻れない前に、体には何がきるの?

ゆうゆう

近いほうと遠いほうで、重力の強さがちがってくるんだ

みいみい

え、同じ体なのにちがうの?

ゆうゆう

このを「潮汐力ちょうせきりょく」というよ。場所ごとの引っぱり方の差なんだ

ゆうゆう

やわらかいめんのりょうはしを、ちがう強さで引くと、長くのびるだろう?

みいみい

にゃんと!! 体もめんみたいにのびちゃうの? こわいよ

ゆうゆう

……うん。こわいよね。そばにいるよ

みいみい

でも、どうしてこわれちゃうの?

ゆうゆう

これを「スパゲッティ」ってぶんだ。……スパゲッティなら、おなかが……

みいみい

ゆう! 食べる話じゃなくて、引っぱる力のちがいだよ!

ゆうゆう

おっと。小さめのブラックホールでは、ふちの前から差がとても強くなるんだ

大きなブラックホールなら、ふちはしずかなこともある

ブラックホールに落ちたら、どうなるの?(大きなブラックホールなら、ふちは静かなこともある)
みいみい

大きいブラックホールなら、もっとこわいの?

ゆうゆう

ふしぎだけど、すごく大きいものでは、ふちの潮汐力が弱いこともあるんだ

みいみい

じゃあ、ふちを越えるときは気づかないの?

みいみい

すべり台がとろーんってなったみたい?

ゆうゆう

そう。かべにぶつかるような感覚かんかくはないかもしれないねえ

みいみい

静かそうでも、越えたら帰れないんだね。内側うちがわでは、潮汐力も大きくなるんだ

ゆうゆう

そのとおり。地球ちきゅうの近くに危ないブラックホールはないから、心配しんぱいはいらないよ

みいみい

よかった……想像の中だけにしておくね

ねこ換算

ゆうゆう

太陽たいよう10ぶんの重さおもさのブラックホールのふちは、直径ちょっけいがおよそ60キロメートル

みいみい

60キロって、どれくらいなの?

ゆうゆう

体長50センチのねこなら、やく12万ひきが1れつならぶ長さだよ

みいみい

にゃんと!! ねこの大行列が、地平線の大きさ!

ゆうゆう

大きくても、近くへ行くのは絶対ぜったいだめな想像実験じっけんだよ

3ぎょうまとめ

  • ブラックホールは、遠くから何でもすいこむそうじきではない

  • 事象の地平線を越えると、光でも外へ知らせをおくれず、もどれない

  • 近づくほど潮汐力が強まり、何が起きるかはブラックホールの大きさでもわる

きょうのナゾ

みいみい

ねえ、ふちの内側では、落ちたものは最後にどうなるの?

ゆうゆう

今の物理ぶつりでは、中心にとても不思議ふしぎな場所があると考えるんだ

みいみい

え、どんな場所なの? 行ったらどうなるの?

みいみい

それって、まだだれにも答えがわからないなぞなの?

ゆうゆう

……うん。人間の博士はかせたちも、まだ答えを決められていないんだ

みいみい

みいもワクワクしてきた! まだ誰も知らないんだね

ゆうゆう

うん。宇宙のルールを、もっと知るための大事なナゾなんだよ

つぎはこれ!

おとなメモ(おうちの方・先生へ)

  • 本文の「戻れないふち」は事象の地平線を指します。固い表面や壁ではなく、内側から外部へ未来向きの信号を送れなくなる因果的な境界です。

  • 「川の流れ」のたとえは、脱出できない性質を伝えるための単純化です。実際に水が流れているのではなく、一般相対性理論における時空の性質を表します。

  • 遠方の観測者が受け取る光は、重力赤方偏移と時間遅れによって、地平線近くで赤く暗く、遅く見えます。落下者の固有時間がそこで止まる、という意味ではありません。

  • 潮汐力は重力そのものではなく、体の場所ごとの重力加速度の差です。小質量ブラックホールほど地平線付近の潮汐力は強く、超大質量ブラックホールでは通過時に比較的小さい場合があります。本文の「スパゲッティ化」は教育的な俗称で、実際の結果は質量・回転・落下経路などに依存します。

  • 地球の近くに危険なブラックホールは知られておらず、人や猫が既知のブラックホールへ近づく計画もありません。本記事は一般相対性理論を学ぶための想像実験です。

  • ねこ換算の根拠: 非回転のシュヴァルツシルトブラックホールでは、太陽質量1個あたりの地平線の直径は約5.9kmです。太陽10個ぶんなら約59kmで、体長50cmのねこ約11万8000ひきぶん(約12万ひき)です。

参考にした資料

(最終更新日: 2026-07-17)