4コマ「星までの距離は、どうやって測るの?」。1コマ目みい「星まで巻き尺が届かないよ!」、2コマ目ゆう「近い星なら、見る場所を変えたときの見かけのずれから距離を調べられるよ」、3コマ目みい「こっちから見た! 次は、あっち!」、4コマ目みい「星が消えた!」、ゆう「ぼくには、近すぎたねえ」
みいみい

ゆう! まきじゃくで、星までの距離きょり測るはかるぞー!

ゆうゆう

おっ、元気な宣言だねえ。何種類しゅるいもの測り方を、つぎつぎに使ってつかっていくんだよ

明るさだけでは、距離は決められない

星までの距離は、どうやって測るの?(明るさだけでは、距離は決められない)
みいみい

いちばん明るく見える星が、いちばん近いんじゃないの?

ゆうゆう

そう思うよねえ。でも星は、もともとの明るさが一つずつちがうんだ

みいみい

えー! じゃあ、明るさだけでは距離をめられないの?

ゆうゆう

遠くにある大きなランタンと、近くにある小さな豆電球まめでんきゅうが、同じくらいの明るさに見えることもあるんだよ

みいみい

大きさがちがうと、同じくらいに見えるの?

ゆうゆう

明るいおやつの看板かんばんも、大きさがちがえば、近いのか遠いのか迷うまようねえ……あ、またおやつの話になった

みいみい

ゆう、またおやつに寄り道してる!

ゆうゆう

あっ、ごめんごめん。だから距離によって、ちがう測り方を組みあわせていくんだ

みいみい

じゃあ、距離によって測り方を組みあわせるんだね

近い星は、見える位置のずれで測る

星までの距離は、どうやって測るの?(近い星は、見える位置のずれで測る)
みいみい

にゃんで、位置いちがずれるの?

ゆうゆう

まず、みいのの前にゆびを1本立ててみて。片目かためずつ交互こうご閉じてとじてごらん

みいみい

あ! 指が、後ろの景色けしきにたいして、右や左にうごいて見える!

ゆうゆう

それだよ。両目りょうめのはばぶんだけ、見える位置がずれて見えるんだ

みいみい

じゃあ、地球ちきゅうの動きを両目のはばのかわりに使うの?

ゆうゆう

そう。地球が太陽たいようのまわりを回る軌道きどうを、両目のはばのかわりに使うんだよ

みいみい

半年も!? みいの目なら、高速こうそくで交互に閉じればすぐだよ!

ゆうゆう

あはは、でも半年待つまつと、地球は軌道の反対側はんたいがわ着くつくからね

みいみい

そのあいだに、近い星の位置が遠い背景はいけいの星にたいして、わずかにずれるんだね

ゆうゆう

このずれを「年周視差ねんしゅうしさ」と呼ぶよぶんだ。近い星ほど大きく、遠い星ほど小さくなるよ

ゆうゆう

そうだよ。Gaiaという探査機たんさきは、たくさんの星のずれを何も測っているんだよ

遠い星は「本当の明るさ」が分かる星を使う

星までの距離は、どうやって測るの?(遠い星は「本当の明るさ」が分かる星を使う)
みいみい

もっと遠い星は、ずれが小さすぎて測れないんじゃないの?

ゆうゆう

おっ、そこに気がついたんだね。そこでは「本当ほんとうの明るさが分かる星」を使うんだ

みいみい

そんな星、あるの?

ゆうゆう

変光星へんこうせいのなかまに、明るさが決まったリズムで変わる「セファイド」という星がいるんだよ

みいみい

明るさが変わる周期しゅうきに、決まったリズムがあるの?

ゆうゆう

そう。周期が長いほど、本当の明るさも明るいという関係かんけいがあるんだ

ゆうゆう

一定いっていのリズムでおやつを出す店なら、においの強さから、お店までの遠さも考えられそうだねえ

みいみい

ゆう! 測るのはおやつの時間じゃなくて、星の周期だよ!

ゆうゆう

あっ、そうだったね。周期から本当の明るさが分かれば、見かけの明るさとのから距離がもとめられるんだ

みいみい

灯台とうだいみたいだね! 決まった強さで光るってわかってれば、くらく見えるほど遠いってわかるもん

もっと遠くは、超新星が次の目印になる

星までの距離は、どうやって測るの?(もっと遠くは、超新星が次の目印になる)
みいみい

セファイドも見えないくらい遠い星は、どうするの?

ゆうゆう

そこでは「超新星ちょうしんせい」を目印めじるしにするんだ

みいみい

星が爆発ばくはつするやつ!?

ゆうゆう

そう。とくに「Iaがた」という種類の超新星は、近くの銀河ぎんがで、セファイドを使って本当の明るさを決めておく

みいみい

爆発の光って、そんなに遠くからでも見えるの?

ゆうゆう

……うん。こわく感じるよね。ぼくは隣にいるから、大丈夫だよ

みいみい

近い銀河から遠い銀河まで、飛び石とびいしみたいにジャンプするんだね!

ゆうゆう

そのIa型超新星は、とても明るいから、もっと遠くの銀河でも見つけられるんだよ

みいみい

じゃあ、みいもつぎの銀河へぴょーん!

ゆうゆう

実際じっさいに飛んでいくわけじゃないよ。とどいた光を測るんだ

ゆうゆう

Ia型もみんな完全かんぜんに同じ明るさではないんだ。光の変化へんかしかたしかたや色から、本当の明るさを計算し直すんだよ

物差しをつないで、宇宙の遠くまで測る

星までの距離は、どうやって測るの?(物差しをつないで、宇宙の遠くまで測る)
みいみい

ずれで測る方法ほうほう、変光星、超新星……いろいろあるんだね

ゆうゆう

これを合わせて「宇宙うちゅうの距離はしご」と呼ぶんだよ

みいみい

この測り方だけで、全部ぜんぶの距離を測るの?

ゆうゆう

近い星の物差しものさしで、遠くでも見える目印の明るさを正しく測って、次のだんけわたしていくんだ

みいみい

じゃあ、いちばん長い定規じょうぎを1本作れば、それで全部測れるのに!

ゆうゆう

みじかい定規を順番じゅんばんに当てながら、長い廊下ろうかを測っていくようなものだよ

みいみい

遠さによって、見つけられる目印がちがうから、定規も順番なんだね

ゆうゆう

ただ定規を並べるならべるだけじゃなく、次の定規の目盛りめもりが合っているか、そのたびにたしかめているんだ

みいみい

確かめながら、じわじわ遠くまでいくんだね。ほっとした!

みいみい

赤くなる光も、遠さを測る手がかりなの?

ゆうゆう

もっと遠い銀河では、光の色が赤くなる「赤方偏移せきほうへんい」という現象げんしょうも、宇宙の広がり方と合わせて使うんだよ

ねこ換算

星までの距離は、どうやって測るの?(ねこ換算)
ゆうゆう

太陽のとなりに近い星、プロキシマ・ケンタウリまでは、およそ4.25光年こうねん

みいみい

光年って、光が1年で進むすすむ距離のことだよね

ゆうゆう

そうだよ。それをみいのジャンプ、1.5mで数えるとね……およそ2京7,000ちょう回ぶん

みいみい

にゃんと……そんなにジャンプしても、まだ着かないの!? ちょっと不安だよ!

ゆうゆう

……うん。そんなに遠いと不安になるよね。ぼくが隣にいるよ

みいみい

だから、まきじゃくではなく、明るさやずれで測るんだね

ゆうゆう

まきじゃくをのばすなんて、とても無理むりな遠さだよね。だから、明るさやずれで測る知恵ちえ必要ひつようなんだ

3ぎょうまとめ

  • 星までの距離は、明るさだけでは分からず、距離によってちがう測り方を使う

  • 近い星は位置のずれ(年周視差)、遠い星はセファイドや超新星などの目印を使う

  • これらの測り方をつないだ「宇宙の距離はしご」で、少しずつ遠くまで測っていく

きょうのナゾ

みいみい

ねえ、いろんな方法で測って、みんなおなじ答えになるの?

みいみい

それって、まだ答えがぴったりそろうか、わからないなぞなの?

ゆうゆう

うん。博士はかせたちもまだ調べている途中なんだ。答えが見つかるのを、ワクワクしながら待とうね

みいみい

近い宇宙の広がる速さは、距離はしごで測ったんだよね?

ゆうゆう

そう。近い宇宙の広がる速さを、距離はしごで測ったんだ

みいみい

大昔おおむかしの宇宙のようすから予想よそうした速さと、少し食いちがっているの?

ゆうゆう

うん。これは「ハッブル・テンション」と呼ばれていて、今も研究けんきゅうつづいているんだ

みいみい

測り方のどこかを直すの? それとも宇宙のしくみ?

ゆうゆう

測り方のどこかを直すのか、宇宙のしくみにまだ分からないことがあるのか、研究が続いているんだよ

つぎはこれ!

おとなメモ(おうちの方・先生へ)

  • 「両目を交互に閉じると指がずれる」は年周視差のたとえとして単純化しています。実際は地球の公転による見かけの位置変化で、恒星自身の固有運動と分離するため複数時点の精密な位置観測が必要です。視差角p(秒角)と距離d(パーセク)の関係d=1/pは理想的な式で、測定誤差が大きい視差をそのまま逆数にすると距離推定が偏るため、実際には誤差モデルなどを考慮します。1パーセクは約3.26光年、視差角の基線には1AUを使います(半年間の観測位置の間隔は約2AU)。

  • 「灯台」「一定のリズムで光る」というセファイドのたとえは、周期‐光度関係の単純化です。「標準光源」は全て同じ光度という意味ではなく、セファイドは周期と光度の関係、Ia型超新星は光度曲線の形や色などから本来の明るさを推定・標準化しています。セファイドには種族I・IIなどの集団があり、周期‐光度関係は金属量や観測波長の影響を受けるため、無条件に同じ関係を当てはめることはできません。

  • 見かけの明るさと距離には逆二乗則がありますが、星間ダストによる減光や観測波長、天体のスペクトルなどの補正が必要です。

  • 「距離はしご」には、本文で中心にした視差→セファイド→Ia型超新星以外に、RRライリ星、主系列星フィッティング、赤色巨星分枝先端、食連星、水メーザーなど、異なる距離範囲で校正・照合に使われる方法があります。すべての天体が全段を順に通るわけではなく、適用範囲が重なる方法を相互に確かめ合う考え方です。

  • 銀河の赤方偏移には宇宙膨張だけでなく固有速度も含まれ、特に近距離では赤方偏移をそのまま距離に換算できません。赤方偏移から距離を求めるには宇宙モデルが必要です。

  • ハッブル・テンションの具体的な数値や統計的な有意さは解析やデータの更新によって変わるため、本文では特定の数値を出さず、測定経路間の食いちがいという説明にとどめています。

  • ねこ換算の根拠: プロキシマ・ケンタウリまで約4.25光年、1光年を約9.46×10^15m、ねこのジャンプ1回を1.5mとして、4.25×9.46×10^15÷1.5≒2.68×10^16回(約2京6,800兆回、本文では約2京7,000兆回と概算)。

参考にした資料

(最終更新日: 2026-08-11)